レーシックがたった5分でわかる

N氏は遺伝性ガンの患者の家族に検査を勧めて、「遺伝などといわないでくれ」と反発された経験がある。 そのようなことから、ユタ州立大で行える家族性大腸ガンの家系調査は、原因遺伝子の研究を志す学者にとっては大きな魅力であった。
研究室には遺伝調査のための専門スタッフがいて、モルモン教会に届けられた信者の家系図を4~5代前までさかのぼって調べ、患者の家族に頼んで親類を紹介してもらう。 公民館に一族が30人も40人も集まって、サンプルとなる血液を提供してくれることも珍しくなかったという。
この資料がなかったら、遺伝子ジャングルのなかに入る気力さえ出なかったはずだ。 「リンケージ解析という分析法を続け、2年目の87年になって、正常な大腸の粘膜細胞にAPCというガン抑制遺伝子があるのを発見しました。
実際に遺伝子を取り出すことに成功したのは、帰国して癌研究会癌研究所で仕事をしていた91年になってからなので、6年がかりだったことになります」APC遺伝子によって作られるタンパク質が、本来、どんな役目をもっているのかは明らかではない。 が、遺伝子の活性が低くなると細胞の骨格が変化することはわかっている。
おそらくそのためであろうが、この遺伝子に異常があると大腸に小さなポリープができやすくなり、ガン化への第一段階を作ってしまうことが確認されたのであった。 では、APC遺伝子が異常だと大腸ガンが発生するのかといえば、そう簡単なメカニズムではない。
その後に、いくつもの遺伝子が関与する複数のステップが進行して、はじめて数万、数億というガン細胞が生まれるのである。 ガン発症のメカニズムN氏たちの研究の結果、次のような何段階にもわたる遺伝子の変化によって、大腸ガンが発生することがわかってきた。

まず最初に、正常な大腸の粘膜細胞でガン抑制機能をもつAPC遺伝子が働かなくなると、細胞が無意味に増殖しないように制御しているシステムが狂い、増殖スピードが速くなってポリープを形づくる。 APC遺伝子の異常だけならポリープも小さいままなので、腺腫と呼ばれる状態ではあってもガン化はしていないことが多い。
このAPC遺伝子に異常があるポリープに、ガン遺伝子の一種であるKlrasという遺伝子の異常が重なって活性化すると、ポリープがさらに肥大して、よりガン細胞に近い形態になる。 それでもまだ良性の腫揚なので、周囲に広がったり転移したりという性質は見られない。

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